アントニオ・グテーレス国連事務総長、 ヘイトスピーチに関する国連の戦略と計画を発表 (18/07/2019)

「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」を発表後、記者ブリーフィングに臨むアントニオ・グテーレス事務総長(右)とアダマ・ディエン ジェノサイド防止担当特別顧問©UN Photo/Manuel Elias

 ニューヨーク、6月18日-事務総長はきょう、加盟国に対する非公式ブリーフィングで「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」を発表しました。この戦略の目的は、ヘイトスピーチが知らず知らずのうちに及ぼす影響や、それぞれの活動の中で、ヘイトスピーチにさらに効果的に対処する方法について、国連のあらゆる主体による理解を深めることにあります。また、加盟国に対する支援の強化と、民間企業や市民社会、メディアとの連携の強化も求めています。

 戦略は、ヘイトスピーチの根本的な原因と推進要素にいかに取り組むべきか、そして、その社会に対する影響をいかに弱めるべきかに関するアイデアを提供するものとなっています。

 「ヘイトスピーチは寛容や包摂、多様性、そして私たちの人権規範と原則の本質に対する攻撃に他なりません。さらに幅広い意味で、ヘイトスピーチは社会的一体性を損ない、共有の価値を侵食し、暴力の基盤を作り上げることにより、平和、安定、持続可能な開発、あらゆる人の人権実現という理想を後退させかねません」アントニオ・グテーレス事務総長は加盟国へのブリーフィングの中で、このように述べています。

 これまで75年間、ルワンダからボスニア、さらにはカンボジアに至るまで、私たちはヘイトスピーチが残虐な犯罪の前兆となる様子を目の当たりにしてきました。最近では、中央アフリカ共和国やスリランカ、ニュージーランド、米国をはじめ、世界各地で大量殺人をもたらした暴力との強い関連性が見られます。各国政府もテクノロジー企業も、オンラインで組織的にまき散らされる憎悪の予防と対策に苦慮しているのが現状です。

 グテーレス事務総長は「新たな経路によってヘイトスピーチがこれまで以上に幅広い人々に、瞬時に届いている中で、私たち国連や各国政府、テクノロジー企業、教育機関はすべて、対応を強化する必要があります」と語っています。

 一方、アダマ・ディエン・ジェノサイド防止担当特別顧問は、次のように付け加えました。「すべての国際人権基準の保護、促進、実施に対する国連の長年にわたる真剣な取り組みを踏まえ、今回の戦略と行動計画は、ヘイトスピーチへの取り組みとして表現や言論の自由を制限することを決して求めていません。むしろ、その根本的原因から社会への影響に至るまで、ヘイトスピーチのライフサイクル全体への取り組みをねらいとする全体論的アプローチを採用しています。また、これに代わる前向きな対抗的な語りをもっと増やすことを、ヘイトスピーチへの対応として考えています」

 加盟国に対する国連の支援を強化するため、事務総長は、ヘイトスピーチに取り組み、これに対するレジリエンスを築く上での教育の役割に関する会議を招集する予定です。また、ジェノサイド防止担当特別顧問を今回の戦略・行動計画の国連におけるフォーカルポイントに任命しました。特別顧問はこの資格で、より具体的な実施指針の策定を監督、促進することになっています。

 「ヘイトスピーチに関する国連戦略・行動計画」の発表に関するご質問は、下記にお寄せください。

 Simona Cruciani, cruciani@un.org +1 917 367 5430

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(出典: プレスリリース 19-041-J 2019年06月21日, 国際連合広報センター〔https://www.unic.or.jp/news_press/info/33636/〕)

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