【セミナー報告】GPAJオンラインセミナー「アフガニスタン人支援コミュニティ・イニシアティブと定住政策」(16/05/2025)

このセミナーでは、「Communities for Afghans(CfA)」というコミュニティ・スポンサーシップ・プログラムが紹介された。これは、第三国からの保護が必要であると確認されたアフガニスタン人家族を受け入れることを目指す取り組みで、2021年のカブール陥落後に避難した人々の生活再建を支援する。CfAは、以前の「Communities for Ukraine」の成功事例を基盤に、2031年3月まで延長されている。

 

フォルー・ジョンガニ氏は、住居の提供や社会統合支援といったプログラムの目的を説明した。スポンサーは、公共サービスの利用、福祉制度の申請、就労機会の確保などを手助けする。

スポンサーグループは6人以上で構成され、2年間の支援を担う。課題としては、大人数の家族に対応できる住宅不足や、スポンサーの地域的な偏りが挙げられる。

 

また、セミナーではイギリスの国際的人道評価にも言及された。このような市民主導型の取り組みは社会的評価の向上に寄与するが、一方で市民権取得や家族再会に関する移民政策の厳格化が、その効果を相殺する可能性もあるとされた。

 

■ 日本のアフガニスタン人定住へのアプローチ

 

これに対し、日本は国内での難民受け入れには厳しい姿勢を維持しつつ、国外での財政支援を重視している。現在、日本はアフガニスタン女性を対象に、酪農や絹産業といった地域開発プロジェクトを通じて経済的自立を促す支援を実施している。難民受け入れは限定的だが、統合支援体制が整えば、アフガニスタン人の受け入れが日本の高齢化対策に貢献する可能性もある。

 

久保田裕一氏は、イギリスの新しい市民権要件がアフガニスタン人家族の統合に与える影響について触れ、日本でCfAモデルを導入する可能性を検討する際に、スポンサーの役割、雇用へのアクセス、地域支援の仕組みなどを考慮する必要があると指摘した。

 

参加者の間では、特に経済的に困難な地域において難民の存在をめぐる社会的分断をどう乗り越えるかについても議論がなされた。また、日本の人口減少という課題に対して、移民の役割についての理解を深める必要性も強調された。すでに外国人住民が多く住む都市では「多文化共生」政策が進められており、これが他の地域での統合政策の参考になる可能性がある。

 

国際的には、伝統的な国家主導の難民第三国定住プログラムが、米新政権の政策急変により行き詰まる中、コミュニティ主導のスポンサーシップが重要な代替手段として注目されつつある。

 

セミナーは、イギリスと日本が人道的目標と現実的課題のバランスを取るために、国際協力と革新的アプローチの重要性を再確認する場となった。

 

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